就職することになりまして
はじめに
来春から就職することになりまして。就職先が決まるまでの過程を振り返ってみようと思います。 就活テクニックみたいなものではありません。
B3 4~5月 修士進学しないことにした
B1の頃はサークルでロボットを作ったりCをガリガリ書いたりしていて、B2の頃はSecHackに参加していろいろとコテンパンにされたりしていたわけですが。B3になったばかりの春、とある企業からインターンのお誘いをいただきました。ここで、そういえばそろそろ就活の時期だよなと気づくわけです。結局このインターンは日程が合わず参加できませんでしたが、学部卒で就職するならば就活を始めなければという意識が芽生えました。つまり、修士進学するかどうか決断する必要がありました。
修士に進むか進まないか、随分迷いましたが、結局進学しないことにしました。進学へのモチベーションが、経済的な工面をする労力を上回らなかったことが主な理由です。後はまぁ、一刻も早く自立したい気持ちが大きかったりもして。
かくして、就活というものを始めることになりました。
B3 6月 はじめての就活
進路指導
「就活かぁ……やだなぁ」と思ってましたね。そんなことばかり言っていられませんが、この頃は自分がどんな会社でどんな働き方をしたいのか皆目見当つきませんでした。
とある勉強会(オンライン)に参加した際、ダラダラと懇親会会場のZoomに残っていたら、知り合いの大人と2人になりました。そこで「就活なんもわからんのですよ~」と零したことをきっかけに、結局朝の5時まで進路指導を受けるということがありました。この進路指導面談で明らかになったのは以下のこと。
- 技術スタックとかよりも、ビジョンとかミッションを重視した方がよさそう
- 人のために働きたい
- 社会のために働けると尚良
そういえば、誰かの為になることしかしたくないなぁとここで気づきました。さくらインターネットの田中社長がこんなことを仰っています。
やりたいことを見つけられない場合にはどうしたらいいか、と聞かれることがあります。どこにでもあるのに普段消火器に気付かないように、見つけようとしないと見えないものです。認知しようと意識をして過ごすと見えてくるものがあります。
ASCII.jp:さくらインターネット 「2020年度内定式」の様子を公開
言われてみれば大学のどこに消火器があるか、よく思い出せませんね。それだけ景色に溶け込んでいるわけです。これと同じように自分のやりたいことも、自分の気持ちの中に埋もれているのかもしれません。
僕の場合は、「誰かのために働きたい」というのが埋もれていた自分のやりたいことでした。これは人類共通の当たり前のことだと思っていたんですが、よく考えてみれば案外そうでもないですね。
(いずれ、この「そうではない人々」を相手にしなきゃならん時が来るだろう)
この進路指導で分かったことを根っこの指針として、就活を進めていきました。
面談イベント
1on1面談イベントなるものに参加してみました。「うお~就活生っぽ~い」とはしゃぎながら自己紹介スライドを作りました。
このイベントは、20社弱の企業側が参加しており、企業と学生側の希望に応じて最大8回の1on1面談が設定されるというものでした。僕はありがたいことに8社と面談できました。
かなり小さいスタートアップやメガベンチャンー・言わずと知れた大企業まで、バラエティ豊かな8社と面談することができ、良い経験になりました。正直な話、「ここには行きたくないな!」という企業もあり、これによって自分の就活の指針が少し明確になりました。その一方で、面談をしたうち4社は好感触でした。
こういうイベントの自己紹介では普通、インターンやハッカソンでの実績とか入社後のイメージなどをアピールするらしいんですが、この時の僕は「こんな技術が好きです!」とか「こういうコミュニティやってます!」というようなことを無邪気に話してました。多分そのせいで、企業側の反応が両極端で面白かったです。何も取り繕っていない自分を見せただけなのに結構良い反応がもらえる企業は、自分に合っているのではないかと思います。
このイベントを通して思ったのは以下のこと。
- エンジニアの技術力がある程度高い企業に行きたい
- 社員数によって結構雰囲気も違いそう
- エンジニアの成長を支援する取り組みがあると嬉しい
- 引き続き自然体でいこう
B3 8月 インターン
8月には、株式会社はてなさんのインターンシップに参加させていただきました。
はてなサマーインターン2020にリモート参戦した - はいばらのブログ
言わずもがな、良い経験になりました。はてなさんとサポートしてくださった社員の皆様には感謝しかありません。 もちろん技術面で得られるものも大きかったのですが、オンライン開催だったため、リモートワークの体験にもなりました。
はてなのインターンに参加する前に、他の2社のインターンに応募しましたが、どちらもお祈りされてしまいました。
B3 9月~2月 本選考
9月以降、徐々に本選考に参加し始めました。以下の4社と関わりがありました。
- A社: 先の就活イベントで面談をした企業
--> 内定 --> 受諾 - B社: 就活サイト経由でカジュアル面談のお誘い
--> 1時面接でお祈り - C社: A社内定後にエントリー
--> 内定 --> 辞退 - D社: A社内定・C社最終面接直前にカジュアル面談のお誘い
--> カジュアル面談のみでエントリーはせず
2内定、1お祈り、1辞退というところですね。
A社
先の就活イベントで面談をした企業です。10月初旬に本選考のご案内をいただき、選考に参加しました。いくつかの面接を経て、12月初旬に内定を頂きました。技術で世のため人のために働きたいという自分の気持ちが、A社のビジョンと合致していたこともあってか、一つ一つの面接がスムーズだったように思います。 内定を頂く際のオファー面談で、この時まだ選考が開始していなかったC社に行きたい気持ちもあることを伝えました。結果的にこのA社の内定を受諾することに決めましたが、C社の選考開始・内定確定まで3か月もの間お待ちいただきました。感謝しかありません……。
B社
就活サイト経由でカジュアル面談のお誘いを頂いた企業です。カジュアル面談後、エントリーしました。こちらはいまいち面接官と話が合わず、そのままお祈りとなりました。 コーディングテストの出来が悪かったのも影響していそうです。
C社
就活を始める前から気になっていた企業です。12月にA社から内定を頂いた後、年明け1月中旬にエントリーしました。いくつかの面接を経て、内定を頂きました。 A社・C社から内定を頂き、かなり悩みましたが、A社の内定を受諾することにしました。
D社
A社から内定を頂き、C社の選考も終盤に差し掛かったところで知人を通してカジュアル面談のお誘いがあった企業です。カジュアル面談でお話しさせていただきましたが、結局エントリーはしませんでした。 これ以上A社にお待ちいただくのもなぁ……とも思いましたが、純粋にA社の志望度が絶対的にも相対的にも上がっていたので、お断りさせていただきました。
どちらの内定を受諾するか
非常にありがたいことにA社・C社から内定を頂きました。これはありがたいと同時に、悩ましくもあります。両社ともにその企業に入りたくて選考を受けているわけですから。
この贅沢な選択をするにあたって、再び自己理解・就活の基準の整理を実施しました。
再度・自己理解
改めて、おめーはなにがしたいのかと。
とりあえず性格診断をしてみました。
これを元に自分を分析してみると、以下のようになりました。
- 繊細で情にもろくて、おとなしい。それ故に協調性がある。
- 某所で「控えめな態度だが積極的に人と関わっている」と評価された。
- 共感性お化けだと思う。
- ポジティブ気味で臨機応変らしい。これはあまり自覚がない。
- 自分はかなり暗い方だと思うけどなぁ。
- 新しいコミュニティで人間関係作ったりはできる。これは臨機応変?
- 急ぎすぎない。確かにまったりしがち。
- 好奇心強め。これは本当にそう。
- 好奇心が強い故に、技術の勉強は苦じゃない。
- 好奇心が強い故に、人と話すときは質問側・聞き手に回りがち。
加えて技術的なスキルの分析をしました。
- 出来ること
- 知識として持っているもの
- ネットワークの基本中の基本
- 「ブラウザでwebサイトが表示されるまで」をおおまかに説明できる
- セキュリティの基本中の基本
- SQLインジェクション・XSS・MITF・DoSなどWebアプリに対する代表的な攻撃手法を説明できる
- AES・RSA・ハッシュ・MAC・JWTなど基本的な暗号技術について説明できる
- ネットワークの基本中の基本
スーパー学生エンジニア!みたいな感じでは全然ないが、「Vue.jsとGoでWebアプリ作ってコンテナ化して適当にデプロイしといて~」くらいならできる。
再度・就活の基準
自己理解を踏まえて、再度、おめーはなにがしたいのかと。
これは自問自答するしかなかったが、何とか以下のようにまとまった。
- 【モチベーション】人の為に働きたい
- 人々を豊かにするというよりは、人々の抱える問題を解決したい
- ゲーム・メディアなどエンタメ系よりtoBが良い
- エンジニア・ビジネスサイドが共に世の中の問題を解決しようしている企業に入りたい
- 【エンジニアリング】技術者として研鑽を積みたい
- 同僚のエンジニア達と切磋琢磨できる良い
- 優秀なエンジニアに囲まれることは福利厚生
- 【組織】リスペクトを持ち穏やかに働きたい
- 各社員が他の社員・部署にリスペクトを持っている組織で働きたい
- 穏やかにコミュニケーションをとりたい
- 一方で馴れ合いや慣習で意思決定されたくはない
比較検討
内定を頂いたA社・C社について、上記の就活の基準に従って比較検討を行いました。
A社
- 【モチベーション】
(ここには詳しく書かないが)まさに社会課題の解決をミッションとした企業である。エンジニア・ビジネスサイドが一丸となって課題解決に取り組んでいる。 - 【エンジニアリング】
課題解決を第一としている故に、実績の少ないモダンな技術やオーバーなイケてる技術を使うことはないようだ。一方で、ユーザーの課題解決・事業貢献を軸とした技術選定や設計、負債との向き合い方を身に着けることができるのではないか。 また、社内のエンジニアのレベルが高いという声を聴く。 - 【組織】
面接・面談でお話した方が皆さん穏やかだった。また、過去のインタビューなどを拝見しても、非常にロジカルに意思決定を進めていることがわかる。
- 【モチベーション】
C社
- 【モチベーション】
(ここには詳しく書かないが)重要度の高いシステムを預かっており、社会貢献度が大きい。またCSRに非常に力を入れている。一方で、新たに問題を解決するフェーズではなさそう。 - 【エンジニアリング】
たびたびエンジニアの発表を見ることがあり、技術力の高さを伺える。また、他社では扱わないような技術領域に関わることができ、その道のプロとしてのキャリアパスが考えられる。しかしA社と比べて新規機能開発の頻度は少ないと思われる(やはり事業のフェーズが違う)。 - 【組織】
こちらもお話した方々が穏やかだった。また、有事対応が迅速な印象がある。A社と比べると、ビジネスサイドの影響力が大きくない印象がある。
- 【モチベーション】
さらに、両社からいただいた選考のフィードバックを比較します (原文ではありません)。
A社
- 本人の考え方が事業やビジョンへのフィットしている
- コミュニケーションが柔らかい
- インフラ・バックエンドの知識・経験がある程度ある
- 積極的に対外活動を行っており、技術への積極性が強い
C社
- 非常に落ち着いており、話の芯がしっかりしている
- 技術の基礎力がある
- 積極的に対外活動を行っており、当社とも親和性が高い
決断
A社からの内定を受諾することに決めました。理由は以下の通りです。
- 【モチベーション】
- 自分の考え方がA社のビジョンと合致しており、さらにそれを評価していただいた。
- 【エンジニアリング】
- 先進的な技術スタックの企業ではないが、ユーザーに求められているシステムを適切に構築・運用していくことは、ソフトウェアエンジニアの本分ではなかろうか。
- 【組織】
- ロジカルで穏やかなメンバーが揃っており、各種インタビューやブログを見ても他者へのリスペクトを感じられる。純粋に尊敬できる大人達と仕事ができるのではないか。
- 【その他】
- まだまだ成長フェーズであり、新規開発の機会も多くある。今エンジニアとして貢献できることは多くあるのではないか。
- 給与を始めとした労働条件に納得感がある。
- 入社後の評価方法に納得感がある。
本当に両社共に良い企業だと思うのですが、このような理由でA社に進むことにいたしました。C社は成熟フェーズに入っていると考えられるのに対し、A社は成長フェーズの最中であるというのが決め手になりました。C社に進めば、A社では体験できないような仕事に取り組めることも確かで、かなり魅力的ではあるのですが、それ以上にA社への志望度が高いものになったのです。
就活を振り返って
なんとか就活を終え、納得感のある内定受諾ができました。就活の中で考えたことをまとめて終わります。これらはすべて仮設で、これから入社して検証していくことになります。
面接対策はしなかった。面接では今までやったこと・その時考えたことしか話していない。これは事実と本音であり、それを評価して内定をくださった企業との相性はある程度信頼できるのではないか。
技術は手段であるが、多分ビジネスも手段である。企業にはミッションがあり、それを達成目標としている。継続的に利益を出すことは、このミッションに対してチャレンジするための資金集めあるいは、持続可能性の担保である。僕はどうにもお金を稼ぐということに興味が持てなかったが、ミッションに持続的に挑戦するための手段として考えれば、利益についてもモチベーションを持つことができる。ビジョンでモチベーションを持てる人間は、ビジョンで企業を選んだほうが良いのではないか。
企業選びの基準は一旦は我儘になって考えてみたほうがよさそうだ。僕は人のために働きたい。しかもソフトウェアエンジニアリングがやりたくて、できればバックエンドが良い。自分がやりたいことを遠慮なく列記し、その中から「どうしても譲れない一線」を絞り込む。僕の場合は「事業が世のため人のためになること」だった。それが出来るかどうかを就活の軸とすることで、ブレずに選考を進められた。
最後に
相談に乗ってくれた知人・友人の皆さん、イベントやインターン・選考でお世話になった企業の方々に心から感謝いたします。 まもなくエンジニアデビューする灰原をこれからもよろしくお願いいたします。